目次
はじめに
みなさん、叙述トリックというものをご存知でしょうか。
叙述トリックとは、読者の先入観や思い込みを利用し、一部の描写をわざと伏せたり曖昧にぼかしたりすることで、ミスリードを仕掛けるトリックのことです。
これは、一般的にはミステリー小説などでよく用いられる手法で、本の帯に「最後の一行ですべてがひっくり返る。」などとよく煽られるあれですね。
小説では、「ハサミ男」「葉桜の季節に君を想うということ」「六角館の殺人」などといったものがよく名作にあげられます。
今まで見ていたものが全てひっくり返る快感を好む人は多いのではないでしょうか。
また、この手法は映像でも表現されることがあり、映画でもこの手法を用いた名作がありますね。
「シックスセンス」「イニシェーションラブ」などがよく名前があがります。
個人的にこういった手法はとてもワクワクするものがあり大好きなのですが、バラエティのお笑い番組でもこの手法が用いられた名作がいくつか存在します。
今回はそんな番組の企画をいくつか紹介したいと思います。
最後にアッと驚くバラエティ番組の企画
「テレビに出ている人の声 実はモノマネ芸人がアテレコしていても誰も気づかない説」/水曜日のダウンタウン
水曜日のダウンタウンの伝説の企画ですね。
通常の放送のように落とし穴ドッキリの企画VTRをスタジオゲストが見て、その感想をコメントする形で番組は進んでいきます。
途中天龍源一郎の滑舌について周囲がいじるシーンなど、定番の流れもあり番組が進んでいくのですが、途中でアンガールズ田中の声がいつもと少し違うなと違和感を覚えます。
ツイッターで見てみると田中は風邪を引いてるのじゃないか、音声の調子がおかしいけどトラブル?といったコメントがいくつか散見され、多少の違和感を感じるものの番組を見続けます。
ロッチコカドの声にも少し違和感を感じたりしますが、特に大きくは気にしない漠然とした違和感を感じながら最後まで見ていると最後の説が発表されます。
そこで、なんとスタジオにいるメンバーはダウンタウンを除いて全てモノマネ芸人が声をアテレコしているということが視聴者にむけた仕掛けとして発表されるのです。
「実は国生さゆりもいた」/くりぃむナントカ
個人的にはバラエティの叙述トリックの元祖にして最大の驚きを与えたのが今から15年以上前に放送したくりぃむナントカのビンカン選手権です
「実は国生さゆりもいた」
最後にこの言葉が発表されたときの衝撃は六角館の殺人のページをめくってとある一行を見たときに通じるものがありましたね。
この企画は、ロケ中に起こる出来事や周囲にいる人物に通常とは異なることがないかビンカンに察知し答えるという企画です。
お笑い芸人のゆうたろうがいるというとても簡単なものから些細な照明の動きやカメラマンについて思考した結果正解にたどり着けるものまで難易度にも差がありとても面白いです。
過去にムツゴロウ王国でロケをしていた際に矢作がボケで答えた「ここはムツゴロウ王国ではない」という回答が正解であったことも伝説として残っており、その場の舞台設定なども含めて問題にしていることもある仕掛けがとても多い企画でした。※その時は全く違う牧場をムツゴロウ王国として紹介していました。
箱根の回では最後の一つのビンカンポイントを出演者がまるでわからずお手上げという状況、視聴者も画面に目を凝らしても異変に気づかない中、発表されたものが前述した回答。
それまでのロケのメンバーに国生さゆりはいなかったため唖然とする視聴者ですが、企画の出演者の土田などは「いや、ずっといたでしょ」と国生さゆりがいることを当然と捉えていて、時空が歪んでいるような不思議な感覚に陥ります。
有田から解説があるのですが、ロケに参加していた国生さゆりをずっと映さないように編集をしていて、視聴者側にはまるで存在しないかのように見せていたというのが最後の仕掛けであるというものでした。
あとで見返して見たらロケ中に画面には映らない女性の声が何回か聞こえたり、出演者が座るテーブルが一つ多くあったり、ビンカンポイントの回答が途中いつのまにか正解がめくれているものがあったりとヒントがいくつか与えられていたのもとても面白かったですね。
「GOピロミ殺人事件」/クイズタレント名鑑
クイズタレント名鑑の珍企画 GOピロミ殺人事件です。
お笑い芸人いる?いない?クイズという変わった名前のマイナー芸人が実在するかという恒例の企画を放送するところから番組は始まります。
いつも最後にGOピロミという郷ひろみのモノマネ芸人を指名し、ネタを披露するという恒例パターンがあるのです(毎回指名されるので実在することは分かっているというのが面白いポイントですね。)
ネタを披露する際に人が倒れるような大きい音がして、カーテンが開かれるとGOピロミがうつ伏せになって倒れています。出演者は青ざめた顔をしてサバンナ高橋は緊張で倒れてしまったのではないかと考察、収録が中断される姿まで赤裸々に放送されます。
放送事故のような映像に驚きながら見ていると、そのままGOピロミ殺人事件というタイトルコールがされ、枡田絵理奈主演のGOピロミの死の原因を追求するというミステリードラマ仕立てコントがスタートするという構成です。
放送事故のような映像が流れる恐怖から突然ドラマが始まり、最後に出演者へのネタバラシがエンドロールとともに流れるというとても不思議な構成の企画でした。
藤井健太郎の独自性が注目されてきたのもこのあたりの企画からだったように感じますね。
クイズタレント名鑑については以下の記事にも書いています。
「浜田をひたすらカットしてOAしたらなにかあったと思う説」/水曜日のダウンタウン
最も最近視聴者を騙した企画はこちらでしょうね。
画像のようなテロップが冒頭に流れて、番組中は浜田の映像が意図的にカットされています。
声はかすかに聞こえるものの、まるでその場にいないかのように不自然にされる編集。
過去に闇営業の影響で宮迫をカットして放送されたアメトーークを思い出した人も多いのではないでしょうか。
ネットでは浜田がいない編集がすぐに話題になり、犯罪を犯したのではなどと噂が多くたちます。
最後にサバンナ高橋から発表された説は浜田をカットしてOAしたり何かあったのではないと視聴者が思うのではないかというもの。
視聴者はまたしても騙された形になりました。
その場の出演者すらもわからない視聴者へ向けた映像の仕掛けは水曜日のダウンタウンの大きな魅力になっていますね。
まとめ
藤井健太郎の演出の番組では叙述を使ったもの、映像トリックを利用した面白い企画が多くありますね。
こういった企画はネットや録画で後で見るのでは面白さが大きく異なるものが多く、テレビをリアルタイムで見ることの楽しさを感じさせてくれます。
コメント