もしもM-1グランプリ2019を島田紳助が審査していたら?

お笑い論

NSCでの紳助の教え

島田紳助はM-1グランプリの創始者であり、2004年を除いて2010年までのM-1グランプリで審査員を務めています。そんな島田紳助はNSCの授業でM-1グランプリの戦い方について語ったことがあります。そこで語ったことは以下の通りです。

はっきりしたキャラ付け、衣装を考えろ

ハッキリしたものつくらなあかんねん。2人が出てきてうじゃうじゃしゃべったらあかんねん。はっきりしたキャラ付け、パターン、見た目。若手見てて思うのは、考えてへんわ、衣装とかを。まず衣装考えなあかんわ。

島田紳助は、デビュー当時に同期の明石家さんまとオール巨人を目の当たりにし、正統派の漫才をしても勝てないと分析した結果つなぎを着てヤンキー口調で漫才を行う紳助竜介というコンビを結成しています。戦略を立てて漫才師として頂点をとった紳助ならではの考察です。

前半は捨てろ、後半で笑いをとれ

2分の漫才よりも5分の漫才のほうがおもしろくなくてはあかんねん。笑いというのはローリングしていかなきゃあかんねん。繰り返すから面白い、だから雪だるまと一緒やねん。ボクシングと一緒、ボクシングの3分間の試合で審判が優劣つけなきゃいけないとき、どこで決めるかといったら最後の印象やねん。ラスト30秒が勝負M-1で勝つにも初めの1分捨てろ、最初の1分はキャラ付けでいい。最後、最後で笑いをとれ

島田紳助はM-1の審査中も4分間の使い方について言及することがとても多いです。ブラックマヨネーズに対しては、4分間の使い方が抜群とほめたたえ、ナイツに対しては寄席の漫才であり、M-1用の作り方じゃないと苦言を呈しました。

また、2008年のダイアン、2003年のアンタッチャブルに対しては後半にかけての盛り上がりで加点をしたと話しています。

このNSCの授業は若手芸人に大きな影響を与えました。島田紳助はM-1の審査において技術に比重を置いて審査をしている印象がありますが、スリムクラブや笑い飯のような王道ではない漫才にも高い評価をしています。

また、漫才の形ではなく応援団の装いをしてリズムネタをするオオカミ少年を敗者復活戦でみてとても高い評価を下したことをTV番組で話しています。

2019年のM-1を紳助はどう見る?

ここで気になるのは史上最高のM-1グランプリと評されているM-1グランプリ2019のファイナリストに対して、もしも島田紳助が審査員にいたらどのような評価をしていたかということです。

今回はこれらの考察をもとに、3組のファイナリストに対して考察を書きたいと思います。

すゑひろがりず

島田紳助は、もともとこのコンビを高く評価していたらしいです。先に書いたオオカミ少年同様、衣装とキャラクター付けがしっかりしています。

また、このコンビは前半に狂言師風の話し方、立ち振る舞いをするコンビだということをしっかり振って後半の山手線遊びや関白遊びでの大きな笑いにつなげています。

中川家礼二や上沼恵美子に高く評価されたこのコンビに島田紳助も高い評価を下した可能性は高いと感じます。

ミルクボーイ

ご存知、M-1グランプリ2019のチャンピオン、ミルクボーイです。

このコンビは見た目やキャラ付けは少ないものの、紳助の語るM-1の戦い方、笑いのローリングに最もマッチしています。

先にあげたNSCの動画のなかで紳助はヨットでネタを大量に作って面白い部分を抜粋し後半に盛り上がりを作るというたとえ話をしていますが、このコンビのコーンフレーク、最中といったネタの構成は紳助の構成と時間の使い方の美学を再現しているようにすら感じます。

前半でシステムを理解させ、後半に笑いをローリングさせたミルクボーイを島田紳助が審査していたら笑い飯以来の99点つけていた可能性も少なくないと思います。

ぺこぱ

前回の記事でも紹介したぺこぱです。

このコンビを島田紳助がどう評価していたかということに最も興味があります。

衣装キャラ付けパターンをしっかり作っていて、尚且つ前半はキャラを理解させるために捨てて、後半に笑いを集中させるという戦略まで完璧に体現しています。

後半に正面が変わったという大きな展開を作っていたのも紳助の話していた通りになっています。

まとめ

上記のファイナリスト以外も本当に素晴らしく、島田紳助がM-1グランプリ2019の審査をしていたらどういう評価をしていたのかとても興味があります。

ただ、紳助は過去のM-1でキャラ付けと後半の盛り上がりを用意したオードリーをあまり評価しなかったこともありました。

紳助が審査をしていてもミルクボーイは優勝していたのか、ぺこぱは和牛に勝てていたのか。答えがわかることはありませんが紳助はM-1に今なお強い影響を与えていて、こういった空想は今後も続いていくのでしょう。

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