目次
はじめに
今回は久し振りに漫画について書きたいと思います。
以前、漫画における名勝負製造機をまとめたことがありましたが、その時に主人公の試合は主人公が勝つことが読めているため、塩試合になることがままあるということを書きました。
もちろん例外はありますが、漫画においてはそういった既定路線が見えてしまうことで面白さが減ってしまうことがよくありますね。
もちろん結果が見えていても過程が面白い名勝負も数あるのですが、今回まとめたいのは
敵vs敵
こちらの対決です。
バトル漫画においてもスポーツ漫画においてもこの構図はどちらが勝つかわからない面白さに溢れていたり、敵のバックグラウンドに改めて触れる機会になったりと名勝負になる傾向があります。
また、主人公や味方が関わらない敵同士の試合が面白いのは魅せ方や掘り下げ方が美味い名作家のなせる技とも言えますね。
今回は漫画における敵同士の名勝負をまとめたいと思います。
敵vs敵の名勝負まとめ
海南vs陵南/スラムダンク
最初にあげたいのはスラムダンクのこちらの名勝負です。
桜木花道がある湘北が関わらずにじっくり描いた作中唯一の試合であり、スラムダンクの中でもこの試合が好きという人は多いですね。
まず、主人公桜木は陵南高校とは練習試合で、海南高校とは神奈川県予選でそれぞれ対戦しており、両試合とも敗北しているというバックグラウンドがあります。
その三つ巴で全国に進む二枠を争うという展開であり、実質的にはどちらが勝っても物語上問題がないという大きな背景があります。
作者は陵南高校に強い思い入れを持っていて、神奈川県大会予選でも陵南が湘北に勝つというシナリオも考えていたという説がありますね。
この試合のポイントになるのは、敵キャラ同士の試合にも関わらずほぼ全ての選手にスポットが当たり、ドラマを持たせているところですね。
特に陵南はキャプテンである魚住の退場という悲劇がおこり、それにより若きエースの仙道の追い詰められる心理描写、それを跳ね返す実力、監督を含めたそれを囲う選手たちの努力と結束といった要素が存分に描かれています。
ディフェンスに定評と言われた3年生の池上というキャラはそれまではさほど活躍をしていませんでしたが、県ナンバーワンの選手海南の牧からスティールを決め、非常に重要な局面を作るという活躍をします。
海南牧が作中でディフェンスにブロックされる描写はほとんどなく、細かいキャラクターにも活躍を与えているのがグッときますね。
この試合の最大の見所は海南大付属エース3年生の牧と陵南エースで2年生の仙道との対決ですね。
2人とも作中トップクラスの実力を誇っている中、試合の終盤で一対一で戦う場面があります。
仙道は同点に持ち込む殊勲点を牧から見事に奪うのですが、そうなった要因、2人の心理描写が巧みに描かれていて、どちらの株も落とさずに最高の結末を描くというところがとても熱いですね。
スポーツ漫画では屈指の敵vs敵の対決だと思います。
クロロvsシルバゼノ/ハンターハンター
ハンターハンターでも人気の高いシーンですね。
シルバゼノは味方側であるキルアの家族ですが、主人公側に加担する人物ではなく、キルアの監禁なども行ったため、今回は敵として考えました。
クロロは当時のヨークシン編の敵、幻影旅団のボスであり、ラスボス級といっても過言ではないほど存在感のある悪役です。相手の能力を盗んでしまうスキルハンターという能力を持っていて、盗んだ念能力を駆使して戦います。
対するシルバゼノはまだ能力、実力共に未知数。暗殺一家であることや、円という難しい念能力を非常に広範囲で使えることから作中トップクラスの力を持っていると考えられるキャラクターです。
この戦いは当時のハンターハンターでは群を抜いた強者同士の戦いということで、展開のスピード、頭脳戦的要素が合わさってとても面白いものでしたね。
シルバゼノは変化形という念の性質を変化させる技を使いこなす達人であり、それまでは見たこともないような強力な念能力と連携プレーでクロロを追い詰めます。
暗殺依頼の遂行のためなら躊躇なく命を落とす覚悟を持っているゼノの作戦によりクロロが次第に追い詰められていきますね。
戦いは決着がつかず横槍で終わってしまうのですが、クロロも相手の能力を盗むために全力ではなかったことが示唆されていて、どちらの株も下げることなく作中トップクラスの敵同士対決を締めくくります。
攻防はほぼ一話に収まるほどで、非常にテンポの良いスピード感が面白さを増幅させていましたね。
また、ハンターハンターはクロロvsヒソカというこれまたラスボス級同士の念願の対決も行なっていましたね。
ただこちらは期待値が高すぎたこともあり、微妙な対決と評価する人も多いですね。
桐皇vs海常/黒子のバスケ
青峰vs黄瀬の一戦ですね。
こちらは、青峰が当時は主人公達に圧倒的力を見せつけていたラスボス級の扱いを受けていたのに対し、黄瀬はコピー能力の持ち主であるものの既に主人公チームに敗北した経験があります。
敵同士の対決にありがちな過去に主人公に負けた側が噛ませ犬となってしまう展開も予想されたわけですね。
ところが、この試合の見所は黄瀬のコピー能力の覚醒と成長、予想していなかったプレーの連続で青峰を追い詰めます。
この迫真の描写はとても凄く、途中このまま黄瀬が勝ってしまうのではないかと感じてしまうほどでしたね。
これもまた、どちら側も損をせずどちらが勝つか分からず試合を楽しめる名試合になりました。
キング・クリムゾンvsメタリカ/ジョジョの奇妙な冒険第5部
ディアボロvsリゾットと言い換えても良いですね。
この試合は物語のラスボスであるキング・クリムゾンと主人公達がこれまで戦ってきた暗殺チームのトップであるリゾットの使うメタリカの対決。まさにラスボス級のスタンドの使い手同士の対決となっています。
メタリカの驚異的な能力と、それを使うリゾットの冷静な判断力により序盤はリゾットが完全に優勢となります。
その後もダメージを与え続けら形で勝負は進むのですが、主人公チームのナランチャなどがら関わってくることで勝負は思わぬ展開をむかえます。
まわりの状況も利用しながら戦うボス。
敵同士の対決は思わぬ幕引きとなりましたが、双方の魅力がたっぷりでた神試合になりましたね。
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