目次
はじめに
和牛がM-1グランプリ2019終了後、卒業を表明しました。
2018年終了後に卒業を表明したかまいたちは2019年に出場し、過去最高の成績を収めましたので、まだどうなるかは分かりませんが、本当に卒業だとしたら寂しいですね。
和牛は2015年のM-1から5年連続で決勝に進出し、新生M-1の主人公と言えるような凄まじい成績を残しました
今回は和牛が歴代の賞レースで披露したネタについてまとめようと思います。
和牛の歴代ネタ
「頑張っていきましょう」/THEMANZAI2014
M-1の休止期間にTHEMANZAI2014で披露したネタです。
和牛が初期に得意としていた屁理屈漫才の1つで、水田が川西を論破していく様が面白いネタです。
内容は川西が開始早々何気なく言った「頑張っていきましょういうてやってますけども〜」という挨拶に対し、ボケの水田が「頑張っていきましょう!って最初に言ってないんだから頑張っていきましょういうてやってますけども」という発言はおかしいと屁理屈をこねるところから始まり、そのやりとりだけで完結するという漫才です。
どことなく現在のかまいたちの漫才を彷彿させる、ボケによるツッコミの論破力が面白い漫才ですね。
結果としては同じブロックの華丸大吉、三拍子に票が集まり決勝に進むことはできませんでした。
このネタに関しては番組終了後に松本人志がTwitterで「和牛とダイアンも良かった」と敗退コンビながら名指しで高評価を伝えたことも印象的です。
松本は後のM-1でも和牛を支持し続けることになるのですが、この頃からネタのテイストを気に入っていたようですね。
「花嫁」/M-1グランプリ2015
新生M-1グランプリ第1弾の2015年に和牛が四番手に登場し、披露したネタ「花嫁」です。
こちらも屁理屈漫才となっています。
花嫁が結婚式場を飛び出して本当に好きな人の元に向かうシーンが良いという川西に対して、周りの人への迷惑が周りにも大きいので全然感動的じゃないと水田が論破するというネタです。
月9ドラマのプロポーズ大作戦のラストをとりあげたようなネタですね。
この漫才では、水田の言っていることに大衆的目線でもそれなりの共感ができ、それにより川西演じる花嫁役の女性を論破する様に痛快な面白さが加わっています。
結果は6位となり、最終決戦進出は叶いませんでした。
このネタに対して審査員席のますだおかだの増田は
増田「あーいえばこーいう、僕大好きです。ですので、2本目にこの続きが見たいです。」
と絶賛のコメントをして、92点の高得点をつけました。
ちなみに、増田の採点では和牛より上はトレンディエンジェルの93点のみでしたので、増田の中ではこの年の和牛は最終決戦進出の評価をしたことになりますね。
この年の和牛もネタの面白さ、技術の高さで高い評価を得ましたが、和牛が新生M-1の主人公として躍進するのはその翌年のことになります。
「ドライブデート」「花火デート」/M-1グランプリ2016
この年が和牛の今後の運命を大きく左右する年になったと個人的には思っています。
まず、予選の段階で銀シャリと和牛のネタの面白さが突出しているとの評価を受け、一躍優勝候補の一角としての出場になりました。
特にドライブデートは準々決勝で披露した際からその面白さが大きな話題となっていました。
準決勝で花火デートを披露したところ、結果はまさかの落選、和牛は敗者復活戦からの挑戦という形になりました。
和牛は敗者復活戦で彼女の手料理というネタを披露、圧倒的な得票数で決勝進出した後、ドライブデートのネタで最終決戦に進出。花火デートのネタを披露するという、1日で三本のネタを披露してその全部が面白いという偉業を達成しました。
松本人志「和牛のネタは色々見てますけど全部面白い」
オール巨人「出だしから安定している。設定が楽しいし、細かい笑いを数多く入れている。最後の動きのところまでネタを張ってあれだけ笑いをとれる。」
1stSTAGEのドライブデートのネタへは絶賛のコメントが溢れました。
2015年との明らかな違いは、水田の屁理屈キャラを活かしたコント漫才に仕上げていることと、川西の女型、マナミちゃんとツッコミの技術の劇的な向上だと感じます。
松本は決勝後のワイドナショーでもツッコミがエグいと絶賛していました。
2本目の花火デートでもカエルに話しかけるにしては長い、カエルにつけた指輪が逃げる。上下迷彩で射的など、設定の妙を活かしたボケと凄まじいキレのツッコミで爆笑をとりました。
結果は松本人志のみが投票をして2位、銀シャリとスーパーマラドーナと戦ったこの年の最終決戦は2003年、2007年の最終決戦と並んで、史上最高の三つ巴と今尚語り継がれています。
「ウエディングプランナー」「旅館」/M-1グランプリ2017
和牛が9番目のネタ順で披露したウエディングプランナーは個人的には和牛史上最高のネタだと思っています。
前年デートネタで大きなインパクトを残し、ハードルも上がりきった状態で和牛は更なる進化をしました。
ネタは昨年同様漫才コントですが、この年の和牛は前半に新婦とプランナーの設定で会話劇をして結婚式に関わるボケの伏線を張り、後半に新郎と新婦のやりとりで前半の会話劇中の伏線を回収していくというとてつもないネタを披露しました。
川西は結婚式の進行が進むに連れ、せり上がりで安室奈美恵を歌いながら入場、キャンドルサービスが突然自動で点火、iPadを使ったスティーブ・ジョブススタイルの手紙披露などめちゃめちゃなイベントを迫られます。
披露宴中のためそんな展開も川西が衆人環視の中進めるしか無くなるという設定が抜群です。
前半に伏線を張り後半に回収するという手法は、過去に麒麟やトータルテンボスも行なっていましたが、一つ一つのボケとツッコミの精度が凄まじく、完全な和牛オリジナルとして昇華していました。
松本「新しい試みをしている。途中でコントの設定がスッと入れ替わるのは見たことない。」
小朝「最初にボケの方が弾けて後半にツッコミの方が弾ける。あれがやっぱり良かったですね。」
和牛の新しいネタの手法は審査員からも絶賛され、1位通過での最終決戦進出となりました。
2本目に披露したネタは旅館のネタでした。
屁理屈をこねる水田が、客として川西が女将役を務める旅館に泊まるのですが、女将のいうことなすことに難癖をつけるところからネタが始まります。
その客が女将に邪険にされ半ば追い出される形になるのですが、水田はその場で宿をとり連泊、1泊目での会話が伏線となり後半の2泊目でさらに大きな笑いにつながっているのが本当にすごいです。
結果はオール巨人、松本人志、上沼恵美子から票を取り2位となりました。
ちなみに2年連続第2位は、あの笑い飯でも成し遂げることのできなかった和牛の偉業となっています。
ちなみにこの年の和牛は予選までで人力車や人助けのネタを披露していましたが、予選の間は今年の和牛は勝負ネタがないのではないかと不安視をされていたようです。
現実、決勝で披露したネタは、予選では一度もかけていなく、決勝進出後から決勝までの間で過去のネタをチューニングをして披露したそうです。
予選決勝すべてで違うネタをしたコンビはほかにいなく、和牛のネタの数とそれを仕上げる技術の高さを物語る大会となりました。
「ゾンビ」「オレオレ詐欺」/M-1グランプリ2018
1本目に披露したゾンビネタは、もはや和牛のオリジナルパターンとなった後半の伏線回収と盛り上がりの髄がつまったネタです。
前半はしゃべくり漫才で、ゾンビにかまれた場合にどのタイミングで水田は自分を殺してくれるのかを川西に聞きます。肌の色が変わったとき、しゃべらなくなった時と二人の問答が続くのですが、後半はその流れのまま自然にコントイン。
後半のコント中のやりとりが、前半の会話の内容に対するアンサーにもなっているという流れがとても美しく、4分の漫才とは思えず、1本の映画をみたような満足感を与えてくれます。
上沼「もう完璧でしょう。ゾンビになるかならないかだけでよくこんなに引っ張って、発想が天才的なネタです。それに落ち着いてる。ベテランの域です3位以内に入ってよかった。
松本「安定感というか、最後裏切らないね。」
志らく「ゾンビ、殺すというワードが出てきて最初は嫌な感じがしたが、二人には品がある。品があるから楽しくみられる。それは才能。」
巨人「前半やっぱり心配でした。毎回ですけど、最後に大きな笑いがなかったら90点もついていないと思った。やはり力なんでしょうね。」
後半に大きな笑いを持ってくる手法が大きく評価されていますね。
前半で伏線を張って後半に回収するという手法が浸透していますが、それでも心配しながら見てしまうというコメントがあるのは審査員の和牛への期待と愛情を感じさせます。
ここで、確率した和牛の後半に大きな笑いを作るスタイルですが、過去に紳助が語っていた漫才の手法とも一致していますね。
↓紳助について書いた記事はこちら
二本目のオレオレ詐欺も途中で時系列が進むという高等技術をごく自然に行っています。
そして、最後のオチは2人がただ見つめあうというもの、展開と表情だけですべてを伝え爆笑を起こす、こちらも非常に作品性が高いもので、霜降り明星との優勝争いは熾烈なものになりました。
結果は霜降り明星の勢いを捲ることはできず準優勝、3年連続準優勝という偉業を達成、
ここで、M-1を和牛中心に見るという方式が完全に確立し、和牛は新生M-1の主人公となったように感じました。
「内見」/M-1グランプリ2019
2019年のM-1グランプリでは、和牛は準決勝敗退、敗者復活戦を勝ち上がっての決勝戦となりました。
準決勝のライブビューイングに行きましたが、会場全体から大トリの和牛への期待を肌で感じました。
準決勝のあと、決勝進出メンバーが発表されたときは、決勝に上がったメンバーのこと以上に、和牛敗退の見出しがYahooニュースのトップに上がっていました。
いつの間にかM-1の中での和牛の注目度はそれほどまでに大きくなっていたことがわかります。
和牛はかまいたちが2番手で660点の高得点を出した直後に登場、ラストイヤーのかまいたちの伝説のネタUFJの直後にその空気に飲まれずに勝負ができる唯一のコンビを笑御籤は敗者復活という形で選びました。
この年は川西のシャツが黒色になっているのが、ラスボス感があってかっこいいですね。
この年の和牛はネタの面白さももちろんですが、アナザーストーリーで見せたどこかやりきったような優しい笑顔が印象的です。
ミルクボーイのネタの途中に真顔で凝視し、時に目を瞑るかまいたちに対して笑ってネタを見る和牛はどこか戦いを終えたような寂しさを感じました。
まとめ
振り返ってみても和牛がM-1に残した功績はすごいですね。
毎年上がりきったハードルを新しいネタで超えていったのは笑い飯でも成し遂げられなかったことだと個人的には思います。
M-1に今年以降和牛が出るのかどうかは分かりませんが、個人的にはここまで戦い抜いた和牛の卒業という決断を応援したいですね。
M-1に出なくても漫才師としての和牛は続いていくと思いますので、またすごいネタを見れるのを楽しみにしてます。
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