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藤井健太郎ってどんな人?
藤井健太郎氏はTBSの番組プロデューサー・演出家です。
『水曜日のダウンタウン』『クイズ☆タレント名鑑』などの優れた企画を生み出した敏腕プロデューサーで、お笑い好きで彼の名前を知らない人はいないでしょう。
視聴者はもちろん、演者やスタッフも楽しんで番組作りをしているのが伝わってくるような素晴らしい番組を多く輩出しています。
著書『悪意とこだわりの演出術』の中で本人は否定していますが、その企画力は天才的だとしか言いようがありません。
ここでは、そんな彼が生み出した企画の数々を、一覧形式でまとめて紹介していきたいと思います。
藤井健太郎の全仕事!!
限度ヲ知レ
『限度ヲ知レ』は、 2004年10月16日に放送された番組で、藤井氏が最初に企画・プロデューサーを行った番組です。
どこまでがOKでどこからがNGなのか、という限度を検証するというコンセプトの元、様々なテーマの限界のラインを調べていきます。
例えば「公共のプールで着用できる水着の限度」では、ウェットスーツやふんどし、貝殻ビキニなどでプールに入ってみて注意されるかを検証する、といった具合です。
「女湯に入れる男性の年齢の限界」では、カラテカ矢部がお母さん役の人と一緒に女湯に入ろうとしたら障がい者に間違えられるというハプニングもありました。
この頃から規制やコンプライアンスよりも面白さを優先させるという番組作りの姿勢が伺えます。
様々な説を検証する『水曜日のダウンタウン』の原型となるような企画ですね。
なんと藤井氏は、この企画を提出した頃はまだ入社一年目で、実際に特番としてこの番組が放送されたのは入社二年目の頃だったそうです。
キリウリ
『キリウリ』は2009年1月4日、2010年9月22日の2回放送された番組です。
お題に対して芸人が大喜利形式で答えていき、一番ハードで面白いアイデアを出した人がお題を落札し、その企画に挑戦することができるという企画です。
例えば「毎朝7時に〇〇で目覚まし! 1週間耐えきれたら10万円!」という企画では、オードリー春日が「土砂」で落札し、実際に1週間土砂で起こされ、部屋の中が泥だらけになりながらも10万円を手に入れました。
この企画が思いついた時点で藤井氏は「これは通ったな」と思ったそうです。
実際、大喜利パートでチキンレースのような限度ギリギリの回答を楽しみつつ、挑戦パートで自分の考えた答えに苦しむ姿も笑えるという優れた企画は放送後に大きな反響があり、この番組フォーマットは海外にも販売されています。
藤井氏は、思い付いた瞬間に「絶対通る」と思った他の企画として、後述する『クイズ☆正解は一年後』を挙げています。
クイズ☆タレント名鑑
『クイズ☆タレント名鑑』は2009年から2012年に渡って放送された番組です。
藤井氏にとってこの番組が初めてレギュラー放送された番組になります。
芸能人や有名人に関する様々なクイズを行うというよくありそうな番組ですが、そのクイズの中身は滅茶苦茶で、「日本一下世話なクイズ番組」と呼ばれる程でした。
「この芸能人、離婚してる?してない?」といったクイズや、「うそつき」「痩せすぎ」といった検索サジェストワードから連想される芸能人を当てるクイズなど、ここまでその場にいない芸能人について好き勝手言える番組はこの番組ぐらいでしょう。
ロンドンブーツやおぎやはぎ、FUJIWARA、有吉弘行といったメンバーが他のどの番組よりも生き生きとして楽しんでいたのが視聴者にも伝わってきました。
一応クイズ番組という体裁は守りながらも、誤答や脱線を楽しむ番組のスタイルは企画がしっかりしていたからそこ生まれたのでしょう。
テベ・コンヒーロ
『テベ・コンヒーロ』は2012年の4月~9月の間に放送された番組です。
『クイズ☆タレント名鑑』の主要メンバーによって、世の中のいろんな疑問を検証・解決するというコンセプトで行う、 タレント名鑑の延長戦のような番組です。
「コウメ大夫で笑ったら芸人即引退」や「ボビーオロゴンVSアンガールズ山根の催眠術相撲」など、お笑い界では語り継がれるような企画が生まれました。
笑い一本だけで勝負をする、個人的には最も復活してほしい番組の1つです。
あるあるJAPAN
『あるあるJAPAN』はレイザーラモンRGをMCとして、2013年7月1日に1回だけ放送された特番です。
「社長室にはパターゴルフありがち」「教科書の正岡子規、落書きされがち」といったあるあるが、本当にあるあるなのかを検証するという番組です。
「〇〇がち」の部分を「〇〇説」に変えればそのまま『水曜日のダウンタウン』になります。
藤井氏は「提供ベースあるある→秒で表記しがち」「漫画紹介あるある→許可が下りずにシルエットになりがち」といった小ネタのあるあるを番組内に差し込んだり、番組中の曲や画面のデザインなどにこだわったりなど、ご褒美のような番組だったと振り返っています。
Kiss My Fake
『Kiss My Fake』は2013年から2014年に放送されていた、Kis-MyFt2のメンバーとおぎやはぎによる番組です。
世の中に溢れるニセモノを見破る力を鍛える、というコンセプトの元、様々なフェイクを見破るクイズを行う番組です。
アイドルグループがメインの番組だから笑いの面では面白くないのではないかと思ってしまいがちですが、藤井氏の番組だけあってそんなことはありません。
マック赤坂の政見放送で実際にあった本物は「宇宙人」「ガンジー」「赤ちゃん」「甲冑」のどれか、といったクイズや、宇宙飛行士アームストロングの「地球が何色だったかは教えない。君自身が確かめる時代がすぐそばまで来ている」というフェイク名言など、お笑い要素がふんだんに盛り込まれた番組となっています。
クイズ☆正解は一年後
『クイズ☆正解は一年後』は2013年以降、年末に放送されている特別番組です。
その年の年始に1回目の収録をして、その1年間で起きることをクイズ形式で予想し、年末に生放送で1年前の予想を答え合わせするという番組です。
藤井氏が自分でも語っていますが、1年間というスケールで1つの番組を作り上げるこの企画は本当に素晴らしいアイデアだと思います。
どう考えればこのような企画が思いついたのか非常に気になりますし、企画が思いついた瞬間に手ごたえを感じたのも頷けます。
今後の1年の予想パートでは、クイズに対して大喜利形式で回答するのですが、どんなにふざけた回答をしても「絶対に無い」とは言い切れないのが面白いところです。
「SMAP解散」や「FUJIWARA藤本の離婚」なども、1年前に言っていたらボケとして受け止められても不思議ではありません。
しかし、この企画には1年前に収録をした際の演者が不祥事などの理由でテレビに映せなくなった場合、1年前の予想パートが使えなくなってしまうというリスクも抱えています。
そして、2019年の放送ではロンブー亮の闇営業問題により、そのデメリットによる被害をモロに受けた形になりました。
しかし、そうしたトラブルもネタにして、何とか楽しみながら番組の形にしていく姿も、制作側の苦労が見えて面白いです。
水曜日のダウンタウン
『水曜日のダウンタウン』は2014年から放送されている番組で、藤井氏と言えばこの番組を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
スタジオでダウンタウンとゲストが、様々な「説」を検証するVTRを観てコメントをするという形式の番組です。
説の内容は「鎖鎌最弱説」の武器対抗戦や 「徳川慶喜を生で見たことがある人 ギリこの世にいる説」といった本当に興味深いものから、「親切でおぶってあげたババアからのチョークスリーパー不可避説」や「浜田雅功の『結果発表』でカラス撃退できる説」といったふざけたものまで幅広いです。
毎週、視聴者をワクワクさせるような面白い説の検証を行う『水曜日のダウンタウン』は、今一番面白い番組と言っても過言ではないのではないでしょうか。
この番組は何度もギャラクシー賞を受賞している一方、その攻めた企画が故にBPOの審議入りするケースもしばしばあるという両極端な特性を併せ持っています。
本当に面白いものを作るためには規制を意識してられない場合もあるのでしょう。
無駄に厳しいコンプライアンスを守らなければならないという昨今の風潮が無くなることを祈っています。
クイズ☆アナタの記憶
『クイズ☆アナタの記憶』は2014年に一度だけ放送された特別番組です。
解答者の過去の記憶からクイズを出題し、クイズを通して人生を振り返るという番組です。
この番組もですが、藤井氏の番組にはクイズを題材にしたものが多い気がします。
クイズ番組という昔からあるフォーマットを利用し、そこから上手くズラして新しい企画にしていくのが得意なのでしょう。
『クイズ☆アナタの記憶』では通常のクイズ番組とは趣向を変えて、解答者のことを調べてそこから問題が作られます。
高橋ジョージにはロードのイントロを聴かせて「ロード第何章か?」を問う、ロード限定のイントロクイズが出されました。
この頃からロードは何となく面白い曲だという空気が生まれた気がしています。
チーム有吉
『チーム有吉』は2015年の1月9日に放送された『クイズ☆タレント名鑑』のスピンオフ的な番組です。
タレント名鑑に有吉チームとして参加していた有吉弘行とおぎやはぎがMCです。
『テベ・コンヒーロ』の「コウメ太夫で笑ったら即引退」を発展させた企画でもあり、「〇〇したら即引退」というテーマの企画を行いました。
クロちゃんに目隠しをして登場させるという今恒例となっているくだりも、この番組で生まれました。
有吉弘行のドッ喜利王
『有吉弘行のドッ喜利王』は2015年10月21日に放送された特別番組です。
まず大喜利番組を普通に収録し、数か月後にすっかり忘れたころに回答がドッキリとして自分に降りかかってくるという番組です。
通常の大喜利番組は作らずに、しっかり仕掛けを用意しておくという藤井氏らしい企画です。
藤井氏はこうした番組ばかり作ってきたので、大喜利パートで出演者に怪しまれないよう苦心したそうです。
しかしながら、出演者の鳥居みゆきは大喜利パートの収録が終わった時点で「藤井さんがこんな普通の番組作るなんてガッカリですよ」と怪しんでいたそうです。
「普通の番組を作る訳がない」と思われているというエピソードからは、どれだけ藤井氏の企画力が高く評価されているかということが読み取れます。
芸人キャノンボール2016
『芸人キャノンボール2016』は2016年1月1日に放送された特別番組です。
「テレクラキャノンボール」というAV作品を元ネタとして、それをテレビ版としてオマージュした企画です。
16人の芸人が4チームに分かれ、車で目的地に向かいながら「とにかく歌が上手い人」「とにかく相撲が強い人」といったお題に当てはまる人物を連れて行くという内容です。
映像は基本的に街中であり、豪華なセットや華やかな音楽は無いため、正月のゴールデンタイムに流す番組にしては異質な空気を放っていました。
テレビ局は視聴率を目指して万人受けするような番組と、内容を重視して本当に面白いことをする番組とを使い分けています。
『芸人キャノンボール2016』は明らかに後者の番組でしょう。
こうした攻めの番組を任せられるのも、藤井氏の実力が高く認められているからだと言えます。
オールスター後夜祭
『オールスター後夜祭』は『オールスター感謝祭』の後にセットをそのまま流用して生放送をする番組です。
『オールスター感謝祭』のパロディ的な内容で、大勢の芸人が『オールスター感謝祭』風のクイズに挑戦します。
クイズの内容はもちろん普通ではなく、「のらじゃないのは?」という問題では①桑名乃羅、②平野ノラ、③ノラ・ジョーンズ、④首輪をした犬で、野良犬じゃないから④が正解といったトリッキーな問題が多数出題されます。
その他にも 「旧満州出身じゃないのは誰?」「鈴木その子さんの戒名は?」といった不謹慎極まりないクイズが生放送で送られます。
深夜とは言え、生放送でギリギリまで攻めた企画を連発する藤井氏を起用するTBSはあっぱれですね。
個人的には本編の『オールスター感謝祭』よりも遥かにこちらの方が楽しみです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
過去に面白かったと記憶していた番組が、実は藤井氏が担当をしていたと知って、驚いたという方も多いのではないでしょうか。
本人は自分は天才でないと言っていますが、バラエティの歴史に残るような名企画をここまで連発できるのは、努力の面も含めて天才と言わざるを得ません。
これからも視聴者を楽しませてくれる名企画を生み出し続けてくれることに期待が高まります。
藤井健太郎氏の著書『悪意とこだわりの演出術』は、テレビファンなら必見の一冊ですので、是非読んでみてください。
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