漫才の原型が誕生したのは平安時代にまで遡ると言われ、今もなお人気の芸能として世の中に受け入れられています。
オーソドックスなしゃべくり漫才やコント漫才だけでなく、様々なスタイルの漫才が日々生まれ続けています。
ここでは、そんなバラエティ豊富な漫才のスタイル・型を、実際の漫才師を具体例として交えながら紹介していきたいと思います。
目次
オーソドックスな漫才スタイル
しゃべくり漫才
しゃべくり漫才は、漫才師の単純な対話だけで進める形式を指し、正統派漫才とも呼ばれる漫才の王様です。
M-1などの賞レースでも、この形式の漫才が評価される傾向にあります。
漫才の中で「俺〇〇やるからお前△△やって」といった特定の役に成りきることはせず、あくまでも漫才師本人として会話が進むのが特徴です。
純粋な対話だけで観客を笑わせなければならないため、漫才師の力量が如実に表れます。
オール阪神・巨人、中川家、ブラックマヨネーズ、タカアンドトシ、銀シャリ、金属バッドといった芸人が得意としている形式です。
コント漫才
コント漫才は「俺〇〇やってみたいんだよね」「俺〇〇やるからお前△△やって」 等のセリフから、漫才の途中で特定の役に成りきり、そのまま対話を進める形式の漫才です。
テーマさえ決めてしまえばそのテーマの中でボケとツッコミができるため、比較的作りやすい漫才の形式だと言えます。
コントを得意とするコンビが、コントのネタを漫才に作り替える場合、コント漫才の形式になることが多いです。
サンドウィッチマン、パンクブーブー、NONSTYLE、和牛といった芸人が得意としている形式です。
大半の漫才はしゃべくり漫才かコント漫才の2つに分類することができます。
以下の記事ではコント漫才の中を更に細かく分類した内容を紹介しています。
特殊な漫才スタイル
歌謡漫才
歌謡漫才は、歌をベースに行われる漫才です。
漫才の途中に歌を挟む形式から、ネタの全てを歌に乗せて行うものまで、様々な種類があります。
漫才を芸人同士の会話だと定義すると、厳密には漫才の枠に入らない形式なのかもしれません。
「なんでだろう」でお馴染みのテツandトモは2002年のM-1グランプリで決勝に進出していますが、歌ネタを漫才として捉えるべきかという議論になりました。
他にはきつね、メンバー、ラニーノーズといった芸人が得意としている形式です。
Wボケ漫才
通常の漫才では、コンビであれば片方がボケでもう片方がツッコミ、と明確に役割が分かれていますが、Wボケ漫才は両方がボケをするという形式です。
ボケとツッコミを交互に入れ替える形式や、両方ともボケ続けてツッコミが不在の形式などが存在します。
Wボケのスタイルは笑い飯がM-1グランプリで披露して以来、一気に広がりを見せています。
M-1で唯一「100点」を叩き出したネタである「鳥人」も、Wボケ形式の漫才です。
ちなみに、以下の記事では「鳥人」に満点をつけた島田紳助の評価基準について紹介しています。
その他にはジャルジャル、Aマッソといった芸人が得意としている形式です。
ギャグ漫才
通常の漫才の合間にギャグを挟む漫才の形式も存在します。
流れ星はボケのちゅうえいが通常の漫才のボケに交えて、自身のギャグをするという方式の漫才を得意としています。
NHKの爆笑オンエアバトルでは、観客投票で上位だったネタしか放送されないというシビアな番組ですが、流れ星は20戦行って全てのネタがオンエアされたという番組最高記録を持っています。
その他には、オジンオズボーン、コウテイ、フースーヤといった芸人が得意としている形式です。
ノリボケ漫才
ハライチが生み出した、岩井のボケ(フレーズ)に対して、澤部が突っ込まずに更にボケを重ねるという形式の漫才は「ノリボケ漫才」と呼ばれます。
岩井のフレーズに対し、澤部が全力で乗っかるという漫才は、ハライチだけが行う唯一無二のスタイルです。
以下の記事では、今やバラエティの人気者となった澤部の本質について岩井がエッセイの中で語った内容を紹介しています。
ズレ漫才
オードリーが生み出した、若林の話に対して春日が誤ったタイミングや内容のツッコミをする形式の漫才は「ズレ漫才」と呼ばれます。
登場の挨拶をする若林に対して「誰に話しかけてんだよ!」というようなズレたツッコミを春日が繰り返すことで漫才が進んでいきます。
元々ツッコミが下手だった春日の弱点を活かした新しいスタイルの漫才です。
オードリーはズレ漫才で、2008年のM-1グランプリで準優勝という結果を残します。
リターン漫才
2019年のM-1グランプリで優勝したミルクボーイのネタは「リターン漫才」と呼ばれます。
松本人志はM-1の番組内で「行ったり来たり漫才とでも言うんでしょうか。揺さぶられました」と彼らの漫才を高く評価しています。
コーンフレークや最中といった1つのテーマに対し、ボケの駒場が様々な特徴を挙げていき、ツッコミの内海が 「〇〇やないか」「ほな〇〇ちゃうか」と強烈な偏見を持った肯定と否定を繰り返すのが特徴です。
このスタイルは上述の漫才の王道である「しゃべくり漫才」にも該当し、2019年時点のM-1グランプリ最高得点である「681点」を記録しています。
ノリ突っ込まない漫才
2019年のM-1グランプリでぺこぱが披露した「ノリ突っ込まない漫才」も新しいスタイルの漫才として注目を集めています。
基本的には通常のコント漫才の形式なのですが、ツッコミの松陰寺がボケに対して普通に突っ込むと見せかけてボケを肯定する点が特徴です。
この漫才形式は松本人志をはじめとする審査員に絶賛され、M-1グランプリ2019では、3位という好成績を残しています。
以下の記事ではぺこぱの漫才についての分析をしていますので、興味がある方はご覧ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ここで紹介した形式以外にも、漫才にはまだまだたくさんのスタイルがあり、現在もその種類は増え続けています。
これからどんな新しい漫才が生まれてくるのか、楽しみです。
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